遺伝子組み換え作物

安全性が懸念される「遺伝子組み換え作物」の解説です。

遺伝子組み換え作物とは?

遺伝子組み換え作物とは、遺伝子組換え技術を用いて遺伝的性質を改変された作物で、略称はGM作物です。

遺伝子組換え技術とは、生物の細胞から有用な性質を持つ遺伝子を切り出し、別の生物の細胞の遺伝子に組み込む技術です。

これにより、従来の品種改良では不可能であった、害虫や病気に対する耐性、栄養価の向上、品質の安定化などの改良が可能となります。

遺伝子組み換え作物は、1996年に米国で商業栽培が開始されて以来、世界中で広く栽培されています。

現在、世界で栽培されている遺伝子組み換え作物の主な種類は、小麦、トウモロコシ、大豆、綿花です。

遺伝子組み換え作物の主な種類

遺伝子組み換え作物には、以下の3つの主な種類があります。

  • 害虫抵抗性
    • 害虫に寄生するバクテリアの毒素遺伝子を導入することで
      • 害虫に対する耐性を付与
  • 除草剤耐性
    • 除草剤に耐性を持つ遺伝子を導入することで
      • 除草剤を散布しても枯れずに育つ
  • 栄養価の向上
    • ビタミンやミネラル、タンパク質などの
      • 栄養価を向上させる遺伝子を導入

遺伝子組み換え作物は、食糧生産の拡大や農薬の使用量の削減、栄養価の向上などの可能性を秘めています。

しかし、遺伝子組み換え作物が人体や環境に与える影響については、まだ十分に解明されていないため、安全性に対する懸念もあります。

遺伝子組み換え作物が人体や環境に与える影響

遺伝子組み換え作物の安全性については、国際的な機関や各国政府がさまざまな研究や規制を行っています。

日本では、遺伝子組み換え食品の安全性について、厚生労働省が、遺伝子組み換え食品の安全性に関する食品安全委員会の評価結果を公表しています。

遺伝子組み換え作物は、今後もさまざまな課題を抱えながら、世界中で普及していくことが予想されます。

遺伝子組み換え作物は、どのように日本の食卓に入り込んでいるか?

遺伝子組み換え小麦やトウモロコシは、主に以下の形で日本の食卓に入り込んでいます。

  • 飼料用
    • 遺伝子組み換え小麦やトウモロコシは、主に飼料用として使用されています。
    • 遺伝子組み換え飼料は、従来の飼料よりも栄養価が高く、生産効率が向上するため、畜産業界で広く使用されています。
    • 遺伝子組み換え飼料は、肉や乳製品などの畜産物を通じて、間接的に私たちの食卓に届いています。
  • 加工食品用
    • 遺伝子組み換え小麦やトウモロコシは、加工食品用としても使用されています。
    • 遺伝子組み換え小麦は、パンや麺類などの主食類、遺伝子組み換えトウモロコシは、スナック菓子やドリンクなどの菓子類や飲料類に使用されています。
    • 遺伝子組み換え食品は、食品表示法に基づき、原材料に遺伝子組み換え作物が使用されている場合は、パッケージに「遺伝子組み換え」と表示されています。
  • 非加工食品用
    • 遺伝子組み換え小麦やトウモロコシは、非加工食品用としても使用されています。
    • 遺伝子組み換え小麦は、うどんやそばなどの麺類、遺伝子組み換えトウモロコシは、缶詰やレトルト食品などの加工食品に使用されています。

遺伝子組み換え食品は、食品表示法に基づき、原材料に遺伝子組み換え作物が使用されている場合は、パッケージに「遺伝子組み換え」と表示する義務があります。

しかし、キャリーオーバーによって表示を免れていることがほとんどなので、「遺伝子組み換え」と表示された商品を目にすることは無いでしょう。

「遺伝子組み換え」表示を免れるキャリーオーバーという仕組み

キャリーオーバーとは、遺伝子組み換え作物と非遺伝子組み換え作物が混ざり合った場合、その混合物は遺伝子組み換え食品として表示する必要がないとする制度です。

日本では、以下の農産物についてキャリーオーバーが認められています。

  • 小麦
  • トウモロコシ
  • 大豆
  • 菜種
  • カボチャ
  • サツマイモ
  • ジャガイモ
  • アスパラガス
  • レタス
  • ほうれん草

キャリーオーバーが適用される例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • しょうゆやみりんなどの調味料に使用される保存料
  • 乳製品の製造に使用される乳化剤
  • 練乳やマーガリンなどの油脂製品の製造に使用される乳化剤
  • せんべいやおかきなどの米菓の製造に使用される保存料

これらの農産物は、遺伝子組み換え作物と非遺伝子組み換え作物が混ざり合った状態で流通していることが多いため、キャリーオーバーによって表示を免れていることになります。

例えば、パンや麺類などの加工食品に使用される小麦は、キャリーオーバーによって表示を免れることが多くなっています。

また、スナック菓子やドリンクなどの加工食品に使用されるトウモロコシも、キャリーオーバーによって表示を免れることが多くなっています。

そのため、消費者が遺伝子組み換え食品を避けるために、食品表示を注意深く確認しても、キャリーオーバーによって表示されていない遺伝子組み換え食品を摂取してしまう可能性は十分にあります。

遺伝子組み換えの原材料を避けるためのポイントは?

  • 「遺伝子組み換えでない」の表示を探す
    • 「遺伝子組み換えでない」と表示されている商品は
      • 遺伝子組み換え作物が使用されていない
        • ただし、この表示は任意の表示
        • 必ずしもすべての商品に表示されているとは限らない
  • 生産者や販売者に直接確認する
    • スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで販売されている商品
      • 食品表示だけでは遺伝子組み換えの原材料を判断することが難しい
        • そのような場合は
          • 生産者や販売者に直接確認する
            • 遺伝子組み換えの原材料を使用しているかどうかを確認可能
  • 有機農産物やオーガニック食品を選ぶ
    • 有機農産物やオーガニック食品
      • 遺伝子組み換え作物を使用していないことが原則
        • ただし、すべての有機農産物やオーガニック食品が遺伝子組み換え作物を使用していないとは限らない
        • そのため、購入前に確認することがおすすめ
  • 自家栽培や生産者からの購入を検討する
    • 自家栽培や小規模な生産者から購入することで
      • 遺伝子組み換え作物を使用した食品を避けることが可能
        • 自家栽培には一定の知識や技術が必要
        • 購入する場合も、遺伝子組み換え作物不使用かどうかを確認する必要あり

以上のポイントを参考に、遺伝子組み換えの原材料を避けるようにしましょう。

まとめ

日本の遺伝子組み換え作物の栽培面積は、2022年時点で、小麦が約1,000ha、トウモロコシが約1,300haと、まだ限られています。

しかし、飼料用や加工食品用として、遺伝子組み換え作物が広く使用されているため、私たちの食卓に間接的に届いていると言えます。

遺伝子組み換え作物に対する消費者の意識は、賛否両論となっています。

遺伝子組み換え作物は、従来の作物よりも栄養価が高く、生産効率が向上するなどのメリットがある一方で、安全性や環境への影響などの懸念もあります。

今後も、遺伝子組み換え作物に関する議論は、続いていくと考えられます。

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