主権と民主主義に対する脅威として指摘される「日米合同委員会」の解説です。
日米合同委員会とは?
日米合同委員会は、日米地位協定の実施に関する協議機関です。
1960年に締結された日米地位協定は、日本国内における在日米軍の地位や権限を定めたものであり、日米合同委員会は、この協定の実施に必要な事項について、日本側と米国側の代表者が協議を行うための機関です。
日米合同委員会は、日本側代表として外務省から「代表」が、米国側代表として国防省から「代表」が任命され、その下に、それぞれ「副代表」や「専門家」が任命されます。
- 日米合同委員会は
- 日米地位協定の実施に関する協議機関
- 1960年に締結された日米地位協定は
- 日本国内における在日米軍の地位や権限を定めたもの
- 日米合同委員会は
- この協定の実施に必要な事項について
- 日本側と米国側の代表者が協議を行うための機関
- この協定の実施に必要な事項について
- 日本側代表として外務省から「代表」が
- 米国側代表として国防省から「代表」が任命され
- その下に、それぞれ「副代表」や「専門家」が任命される
会議は、原則として年2回、日本と米国の代表が交互に開催地となる形で開催されます。
協議される事項
日米合同委員会では、主に以下の事項について協議が行われます。
- 施設・区域の提供、返還
- 刑事裁判管轄権
- 兵士の犯罪
- 環境問題
- 騒音問題
- 交通問題
- 基地周辺地域の振興
施設・区域の提供、返還
日米合同委員会で最も重要な協議事項のひとつが、施設・区域の提供、返還です。
在日米軍は、日本国内に約1,000か所の施設・区域を保有していますが、これらの施設・区域は、日米地位協定に基づき、日本政府から提供されています。
日米合同委員会では、在日米軍の必要性や日本側の要請などを踏まえて、施設・区域の提供や返還について協議が行われます。
近年では、在日米軍の再編に伴い、多くの施設・区域が返還されています。
刑事裁判管轄権
在日米軍の犯罪は、日米地位協定に基づき、原則として米国側の軍事裁判で裁かれます。
しかし、日本国内で重大な犯罪を犯した場合は、日本側の司法当局に引き渡されることがあります。
日米合同委員会では、在日米軍の犯罪に関する日米両国の協力について協議が行われます。
近年では、在日米軍の犯罪が社会問題化したことを受け、日本側の司法当局への引き渡しを容易にするなどの措置が講じられています。
環境問題
在日米軍の活動は、騒音や環境汚染などの問題を引き起こしています。
日米合同委員会では、これらの問題の解決に向けて、日米両国が協力していくことが確認されています。
近年では、在日米軍の騒音や環境汚染対策として、騒音低減対策の実施や、環境保護に関する教育の充実などが進められています。
騒音問題
在日米軍の飛行場や演習場は、騒音問題の原因となっています。
日米合同委員会では、騒音問題の解決に向けて、日米両国が協力していくことが確認されています。
近年では、騒音対策として、飛行場の夜間飛行の制限や、防音壁の設置などが進められています。
交通問題
在日米軍の基地周辺は、交通量の増加や交通渋滞などの問題を引き起こしています。
日米合同委員会では、交通問題の解決に向けて、日米両国が協力していくことが確認されています。
近年では、交通対策として、基地周辺の道路の拡張や、交通規制の強化などが進められています。
基地周辺地域の振興
在日米軍の基地は、基地周辺地域に大きな影響を与えています。
日米合同委員会では、基地周辺地域の振興に向けて、日米両国が協力していくことが確認されています。
近年では、基地周辺地域の振興として、雇用機会の創出や、観光振興などが進められています。
日米合同委員会は、日米地位協定の円滑な実施と、在日米軍と地域社会の共生・共栄に重要な役割を果たしています。
今後も、日米両国の協力のもと、日米地位協定の適切な運用と、在日米軍と地域社会の共生・共栄の実現に向けた取り組みが求められています。
「日米合同委員会」が主権と民主主義を脅かす?!
日米合同委員会が日本国憲法よりも上に位置しているかどうかは、憲法学的な解釈の問題であり、明確な答えはありません。
日米地位協定は、日本国憲法第9条第2項の「戦力」には含まれないと解釈されており、そのため、日米合同委員会が日本国憲法の管轄外にあると解釈することも可能です。
しかし、日米地位協定は、日本国内における在日米軍の活動を規制する法律であり、その運用には日本国憲法の原則が適用されるべきであるとの考えもあります。
また、日米合同委員会の協議は、非公開とされており、その内容が国民に十分に知らされていないという点も、主権と民主主義に対する脅威として指摘されています。
このように、日米合同委員会が日本国憲法よりも上に位置しているか否かについては、さまざまな意見があります。
ただし、日米合同委員会は、日米地位協定の実施に関する協議機関であり、その協議の結果は、日本政府に拘束力を有するものです。
そのため、日米合同委員会は、日本国憲法の下であっても、日本政府の権限に影響を与える存在であると言えます。
具体的には、日米合同委員会によって、以下の事項について、日本政府の権限が制限される可能性があります。
- 在日米軍の施設・区域の提供・返還
- 在日米軍の犯罪に対する刑事裁判管轄権
- 在日米軍による環境汚染や騒音問題への対応
これらの事項は、日本国憲法の下でも、日本政府の権限に含まれるものです。
しかし、日米合同委員会によって、これらの事項に関する日本政府の決定に制限が設けられる場合、日本政府の主権が制限されることになります。
また、日米合同委員会の協議は非公開とされているため、国民がこれらの協議の内容を把握することが困難です。
そのため、国民の民主的な意思決定に支障をきたす可能性もあります。
このように、日米合同委員会は、日本国憲法の下であっても、日本政府の権限に影響を与える存在であり、主権と民主主義に対する脅威として指摘されています。
追加の説明
日米合同委員会の協議は、非公開とされています。
しかし、近年では、施設・区域の提供や返還に関する合意については、その全文または概要が公表されるようになっています。
参考になる外部リンク
- 外務省:日米合同委員会組織図(2023年9月現在)