行動経済学・行動心理学入門 – あなたの人生を変える、バイアス(心の傾向)を理解して日常に活かす方法

心理学・行動経済学・無意識

イントロダクション

私たちは、知らず知らずのうちに、日々の選択をバイアスと呼ばれる心の傾向偏り・偏見・先入観など)にゆだねています。

このバイアスは、時にはとんでもない「不合理な」選択を招いてしまうこともあるのです。

私はかつて、このバイアスの罠にひどく悩まされていました。

仕事で失敗ばかり繰り返し、恋愛でも上手くいかず、自暴自棄の日々を送っていました。

しかし、行動心理学と出会い、人間の思考メカニズムを理解したことで、人生は一変しました。

バイアスを理解することで、より良い選択を繰り返し、望む未来を手に入れることが可能になります。

この記事は、あなたのそんな第一歩を踏み出すためのガイドです。

私が苦労して見つけた、人生を変えるためのステップバイステップの方法を余すことなくお伝えします。

行動経済学と行動心理学

行動経済学と行動心理学は、どちらも人間の行動や意思決定を研究する学問ですが、その対象範囲や方法論に違いがあります。

行動経済学

  • 経済学では、人間は常に合理的な行動をとると仮定
  • 行動経済学
    • 経済学の仮定に逆らって、人間は不合理な行動する
    • その不合理な行動を研究して人間の持つバイアスを解明する

行動心理学

  • 心理学の分野の一つで、人間の行動や意思決定を研究する学問
  • 行動心理学も、人間は常に合理的な行動をとるわけではないと考える
  • 行動経済学が経済現象を分析することを目的としているのに対し
    • 行動心理学は、人間の行動や意思決定そのものを理解することを目的としている

バイアスに関しては両学問ともに共通の概念なので、特に意識せず、話を進めていくことにします。

バイアスに関する誤解を解こう

まず、バイアスに関するいくつかの誤解を解いておきましょう。

「バイアスは悪いものだ」という誤解

バイアスは必ずしも悪いものではありません。

脳が100%の能力を使い続けると大量のエネルギーを消費して死に至るという説があります。

バイアスは脳に余計な負担をあたえないための機能や工夫として存在しており、脳の処理を省エネして、生き残るための本能的な判断ツールだと言えるでしょう。

問題は、「バイアス」そのものではなく、そのメカニズムや対処法を知らないことです。

「バイアスは克服できる」という誤解

残念ながら、バイアスを完全に取り除くことはできません。

しかし、その存在を認識し、うまくコントロールすることで、ポジティブな影響を与えることができるのです。

「バイアスは専門家の問題だ」という誤解

誰でもバイアスを持っています。

この本は、専門家ではなく、私たちのような一般の人々がバイアスを理解し、活用するためのものです。

バイアスのメカニズム

では、実践的なステップに入りましょう。

バイアスを理解し、活用するためのステップは以下の通りです。

自分のバイアスを認識する

最初のステップは、自分の持つバイアスを認識することです。

バイアスの仕組みを知る

次は、バイアスがどのように機能しているのかを学んでいきます。

具体的には、「アンカリング効果」、「ハロー効果」、「確認バイアス」など、代表的なバイアスとそのメカニズムを理解しましょう。

バイアス定義メカニズム
アンカリング効果最初に提示された情報に引きずられて、その後の情報の判断が影響を受ける現象最初に提示された情報は、その情報を起点としてその後の情報が処理されるため、判断に影響を与えると考えられる。
ハロー効果ある情報から、その人の全体像を判断する傾向ある情報と他の情報が連想的に結びつき、その情報に基づいて他の情報を判断すると考えられる。
確証バイアス自分の信念や仮説を支持する情報に注意を向け、反対する情報には注意を向けない傾向自分の信念や仮説を正しくしたいという心理が働き、それを支持する情報に注目すると考えられる。
代表性バイアス一部の情報から、全体像を判断する傾向一部の情報が全体を代表していると過度に考えてしまうため、判断に影響を与えると考えられる。
選択バイアス自分の都合の良い情報に注目し、都合の悪い情報には注目しない傾向自分の都合の良い情報は、記憶に残りやすく、判断に影響を与えると考えられる。
帰属バイアス他人の行動の原因を、その人の内面的な要因に帰属する傾向他人の行動を自分の行動と比較して判断するため、内面的な要因に帰属すると考えられる。
因果関係の誤謬2つの事象が同時に起こったからといって、それらの事象の間に因果関係があると誤って判断する傾向2つの事象の間に因果関係があると過度に考えてしまうため、判断に影響を与えると考えられる。

これらのバイアスは、私たちの日常生活においてさまざまな形で現れています。

例えば、

「アンカリング効果」は、値引きされた商品を購入を検討する際に、最初に提示された価格を参考にして「お買い得」かどうかを決める傾向として現れます。

※最初から「値引きを前提」に高めの価格設定をしておき、「アンカリング効果」によるお得感を演出した「値引き価格」で販売する方法が実際に存在するので、注意が必要です。

「ハロー効果」は、面接で応募者の容姿や服装から、その人の能力や性格を判断する傾向として現れます。

「ポジティブハロー効果」「ネガティブハロー効果」がある

  • ポジティブハロー効果
    • 清潔な身なり➡仕事ができそう、真面目そう
  • ネガティブハロー効果
    • 服がヨレヨレ➡仕事ができなさそう、信頼できなそう・・・

初対面時の身なりは、ハロー効果のバイアスに大きな影響を与える可能性があります。

そのため、初対面の時は、清潔感のある身なりを心がけることが大切ですね。

「確証バイアス」は、自分にとって都合の良い情報ばかりに注目する傾向として現れます。

このバイアスが強いジャンルで情報収集を繰り返すと、以下の2つのことが起こります。

  • 自分の意見や信念がますます強固になる

確証バイアスによって、自分が持っている意見や信念を支持する情報ばかりが目に入ってくるようになります。その結果、自分の意見や信念がますます強固になり、他者の意見や信念を受け入れにくくなるのです。

  • 偏った視点で物事を判断するようになる

確証バイアスによって、自分の意見や信念と反する情報は、無意識のうちに無視したり、軽視したりしてしまうようになります。その結果、偏った視点で物事を判断するようになるのです。

例えば

  • ある商品の購入を検討
    • その商品の良い口コミばかりを集めて情報を収集
      • 商品の良い面ばかりを認識
      • 悪い面を認識しにくくなる
    • その結果、商品の購入を決断する可能性が高まる
  • ある政治家の支持者の人
    • その政治家に関する良いニュースばかりを集めて情報を収集
      • 政治家の良い面ばかりを認識し
      • 悪い面を認識しにくくなる
    • その結果、政治家への支持を強固にする可能性が高まる

このように、確証バイアスが強いジャンルで情報収集を繰り返すと、自分の意見や信念がますます強固になり、偏った視点で物事を判断するようになるというリスクがあります。

このリスクを回避するためには、以下の点に注意しましょう。

  • 自分の意見や信念を客観的に見つめ直す
    • 自分の意見や信念を客観的に見つめ直すことで、確証バイアスの影響を軽減する
    • 例えば、自分の意見や信念と反する情報にも目を通す
    • 情報の正しさや妥当性を客観的に検討する
  • 多様な情報源から情報を収集する
    • 同じジャンルの情報でも、情報源によって内容は異なる
      • 多様な情報源から情報を収集する
        • 偏った視点を防ぐことができる
    • 例えば、新聞や雑誌、インターネットなど
      • さまざまな情報源から情報を収集してみる
  • 自分の意見や信念を他人に伝える
    • 自分の意見や信念を他人に伝える
      • 自分の考えを客観的に見つめ直すことができる
    • 例えば、友達や家族など、信頼できる人に自分の意見や信念を聞いてもらう

これらのバイアスを理解することで、私たちの判断や行動がどのように影響を受けるのかを理解し、より合理的な判断や行動をとることができるようになるでしょう。

バイアスをコントロールする

自分のバイアスを認識し、仕組みを知った上で、それをコントロールする方法を身につけましょう。

例えば、熟考時間を設けたり、多様な情報を取り入れたりすることで、バイアスの影響を減らすことができます。

熟考するためには、自分自身を客観的に観察してフィードバックする習慣を持つ必要があります。

正しいフィードバックを得る方法として、次の項目で紹介する「メタ認知」という概念を理解して活用する習慣を身につけると良いでしょう。

メタ認知能力を高める

メタ認知とは、自分の認知活動を客観的に把握し、制御する能力です。

つまり、自分の考え方や感情、記憶、学習などを客観的に理解し、それらを効果的に活用できるようにする能力です。

メタ認知には、大きく分けて以下の3つの要素があります。

  • 認知的知識
    • 自分の得意不得意、課題の難易度、学習方法など、自分の認知能力に関する知識
  • 学習戦略
    • 学習目標を設定する、計画を立てる、実行する、振り返りをするなど、学習を効果的に進めるための戦略
  • 自己制御
    • 自分の思考や行動をコントロールする能力

メタ認知能力が高い人は、以下のような特徴があります。

  • 自分の能力や課題の難易度を正しく理解できる
  • 効果的な学習方法を自分で考えることができる
  • 途中でつまずいても、自分で考えながら解決できる

メタ認知能力は、学習や仕事、日常生活など、さまざまな場面で役立ちます。

メタ認知能力を高めるためには、以下のような方法があります。

  • 自分の学習や仕事のやり方を振り返る
  • 他の人の学習や仕事のやり方を見て参考にする
  • メンターやコーチなどの専門家に相談する

客観的に自分を見るコツとしては、感情(情動)を切り離して、俯瞰(ふかん)で上から自分自身を見下ろしているイメージを持つと良いでしょう。

メタ認知能力を高めることで、自分の能力を最大限に発揮し、より効果的に学習や仕事、日常生活を進めることができるはずです。

感情とバイアスの関係

感情的になっているときには、バイアスが強くなる傾向にあります。

感情は、思考や行動に大きな影響を与えます。

感情的になっていると、思考が狭くなり、視野が狭くなるため、物事を客観的に判断することが難しくなります。

また、感情的になると、ストレスホルモンが分泌され、脳の認知機能が低下するため、バイアスが強くなると考えられています。

具体的には、以下のバイアスが強くなる傾向にあります。

  • 選択バイアス:自分の好みや感情に合ったものを選択する傾向
  • 確証バイアス:自分の信念や考えを裏付ける情報に注目し、反証する情報に注意を払わない傾向
  • 予断バイアス:事前に持つ先入観や偏見に基づいて判断する傾向
  • 認知的歪み:現実を正しく認識せず、歪んで認識する傾向

感情的になっているときは、これらのバイアスによって、誤った判断や行動をしてしまう可能性があります。

感情的になっているときにバイアスを防ぐためには、以下の方法が有効です。

  • 深呼吸や瞑想など、リラックスする方法を実践する
  • 自分の感情を客観的に観察する
  • 冷静になってから判断や行動をするようにする

また、感情的になりやすい状況を避けるようにすることも大切です。

バイアスを味方に付ける

バイアスを恐れる必要はありません。適切に活用することで、意思決定を助け、行動を加速させることができるのです。

例えば、時間がないときに直感に従ったり、自分の強みを生かすための戦略を立てたりすることができます。

日々のメンテナンス

行動変容は簡単ではありません。

バイアスをコントロールし続けるためには、日々の努力が必要です。

振り返りの習慣

定期的に自分の行動を振り返り、バイアスの影響を分析しましょう。

実験と改善

新しいテクニックを試したり、失敗から学んで改善を繰り返しましょう。
コミュニティの力: バイアスに悩む人はあなただけではありません。仲間と情報を共有し、互いに励まし合いましょう。

トラブルシューティング

バイアスの活用には、多くの疑問がつきものです。

以下は、よくある質問とその回答です。

すべてのバイアスをコントロールできるのか?

残念ながら、すべてのバイアスをコントロールすることはできません。

しかし、重要なバイアスを認識し、その影響を減らすことは可能です。

バイアスを活用するのは危険ではないか?

バイアスの活用は、使い方次第です。

倫理観を大切にしながら、ポジティブな目的のために活用しましょう。

すぐに効果を実感できるか?

バイアスの活用は、日々の積み重ねが大切です。すぐに劇的な変化を期待しすぎないでください。

結論

行動心理学は、人生を変える魔法の杖ではありません。

しかし、私たちがより賢く、より良い選択を繰り返すための強力なツールです。

この記事を旅の始まりとして、あなたのバイアスを理解し、活用してください。

きっと、望む未来が待っています。

さあ、行動を起こしましょう!

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ぜひこれらの書籍を手に取り、学びを深めていってください。


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