コーヒー焙煎豆のエージングとは、焙煎されたコーヒー豆を一定期間保存することで、その風味が変化していくことを指します。
エージングが起きる理由
コーヒー豆は焙煎直後、ガスを多く含んでおり、これがコーヒー豆の風味を閉じ込めている状態です。
時間が経つにつれて、このガスが抜けていくことで、コーヒー豆の中の成分が変化し、新たな風味を生み出します。
エージングによって何が変わる?
エージング(時間の経過による変化)のポイントを見てみましょう。
- 甘味が増す
- ガスが抜けることで、コーヒー豆の甘みが引き出され、よりまろやかな味わいになる
- コクが増す
- 時間とともに、コーヒー豆のコクが深まり、重厚感のある味わいになる
- 酸味が落ち着く
- 焙煎直後の尖った酸味が落ち着き、まろやかな酸味に変化
- 香りが複雑になる
- さまざまな香りが混ざり合い、より複雑で奥深い香りが生まれる
一言でザックリ言うと、「エージングが進む」ことは「焙煎度合が進む」ことに似ていると思います(厳密には違いますが・・・)。
つまり、エージングによって焙煎度が深まっていくような風味の変化があるということで、逆に焙煎度が浅くなる側への変化はないということです。
- エージングが進む ≒ 焙煎度合が進む
- (限度はあるが)より深煎りに近づく
- 浅煎り方向に向かうことはあり得ない
では次に、メリット・デメリットに分けてみます。
メリット
- 風味の変化を楽しめる
- 焙煎直後とは異なる、熟成された風味に変化する
- 個性が際立つ
- コーヒー豆本来の個性がより明確に感じられるようになる
- 保存性が高まる
- 焙煎直後のコーヒー豆は酸化しやすいですが、エージングすることで酸化が遅くなり、風味を長く保つことができます。
デメリット
- 風味の劣化: エージングを進めすぎると、風味が劣化し、おいしくなくなることがあります。
- 保管環境が重要: 温度や湿度、光など、保管環境によってエージングの進み方が大きく変わります。
コーヒー豆のエージングを「メリット」として語る際に「熟成」と表現し、「デメリット」として語る際に「劣化」と表現するようです。
また、「浅煎り」か「深煎り」かでメリット・デメリットに対する比率が違ってきます。
- 浅煎り
- 「明るい酸味」や「果実感」を求めるならエージングは短くなる
- 割とすぐに風味(浅煎りらしさ)は抜けてしまう
- 「熟成」よりも「劣化」が気になるところ
- 「明るい酸味」や「果実感」を求めるならエージングは短くなる
- 中煎り
- 酸味がとがっている・コクが足りないなら
- 「劣化」よりも「熟成」にウエイトを置く
- エージングで好みのバランスになるまで待つ
- 風味が抜けてしまうまで楽しめる。
- 酸味がとがっている・コクが足りないなら
- 深煎り
- 焙煎によって「酸味」や「果実感」などは既に失われている。
- 「苦味」「コク」は焙煎時に既に引き出されている
- 「熟成」の伸びしろはあまり残っていない
- 「劣化」により風味が抜けたら美味しくなくなる
- 焙煎によって「酸味」や「果実感」などは既に失われている。
私の場合、浅煎りは焙煎後すぐ~3週間以内に、深煎りは焙煎後数日経過後~1.5か月以内に消費したいと思っています(できていませんが・・・)。
目安の期間に飲み切れなそうな場合は冷凍保存をすると、エージングの進行を遅らせることができます。
エージングの期間
エージングの最適な期間は、コーヒー豆の種類や焙煎度合いによって異なります。
一般的には、1週間から2週間程度が目安ですが、豆の種類によっては、数ヶ月かけてじっくりとエージングさせることもあります。
スーパーなどでコーヒー豆を購入する場合、焙煎日からどれくらい経過しているかわからない場合が多いですが、エージングの後半で「劣化」によって風味が失われていく状態の物が多いのではないかと思います。
ネットショップなどで購入する場合は「受注焙煎」で販売されている商品を購入すると、エージングを楽しみながら飲むことができるのでお勧めです。
エージングを楽しむためのポイント
- 新鮮な豆を選ぶ: エージング前のコーヒー豆が新鮮であるほど、より良い風味の変化を楽しむことができます。
- 適切な保存方法: 冷暗所で密閉容器に入れて保存することで、酸化を防ぎ、風味を保つことができます。
- 定期的に試飲する: エージングの経過を定期的に確認し、自分好みの風味になったタイミングで飲むようにしましょう。
まとめ
コーヒー豆のエージングは、コーヒーの味を深く楽しむための重要な要素の一つです。
適切な方法でエージングを行うことで、あなただけの特別な一杯を見つけることができるかもしれません。