自己免疫疾患、アレルギー疾患、炎症性疾患の発症を抑制する「Tレグ細胞」の解説です。
Tレグ細胞とは?
Tレグ細胞とは、免疫系の司令塔であるT細胞の一種で、免疫応答を抑制する機能を持った細胞です。
Tレグ細胞の「T」と「レグ」の意味
- T は Thymus(胸腺) に由来
- 胸腺は胸骨の裏側にあるリンパ器官で、T細胞が成熟する場所
- したがって、T細胞は胸腺で成熟した細胞であることを示している
- レグ は Regulatory(制御性) の略称
- Tレグ細胞は、他の免疫細胞の活動を抑制し
- 免疫反応を調節する働きがあることから、この名前が付いた
- Tレグ細胞は、他の免疫細胞の活動を抑制し
T細胞には、免疫応答を活性化する「エフェクターT細胞」と、免疫応答を抑制する「Tレグ細胞」の2種類があります。
- 2種類のT細胞(アクセルとブレーキ)
- 免疫応答を活性化する「エフェクターT細胞」(アクセル)
- 病原体や異物を排除するために
- サイトカインや細胞傷害性物質などの物質を産生して免疫応答を促進
- 「キラーT細胞」もエフェクターT細胞の一種
- 感染細胞やがん細胞を直接破壊する
- 病原体や異物を排除するために
- 免疫応答を抑制する「Tレグ細胞」(ブレーキ)
- サイトカインや細胞傷害性物質などの産生を抑制したり
- エフェクターT細胞の活性を抑制したりすることで、免疫応答を抑制
- 免疫応答を活性化する「エフェクターT細胞」(アクセル)
- T細胞はアクセルとブレーキのバランスが重要
- アクセルが強く踏み込まれすぎると
- 自己免疫疾患やアレルギー疾患などの発症につながる
- ブレーキが強く踏み込まれすぎると
- 感染症やがんなどの発症につながる
- アクセルが強く踏み込まれすぎると
エフェクターT細胞は、病原体や異物を排除するために、サイトカインや細胞傷害性物質などの物質を産生して免疫応答を促進します。
一方、Tレグ細胞は、これらの物質の産生を抑制したり、エフェクターT細胞の活性を抑制したりすることで、免疫応答を抑制します。
Tレグ細胞は、主に胸腺で産生され、末梢血やリンパ節、腸管などの組織に存在します。
Tレグ細胞の概要
- 免疫応答を抑制する機能を持ったT細胞
- 自己免疫疾患、アレルギー疾患、炎症性疾患の発症を抑制する
- 主に胸腺で産生され、末梢血やリンパ節、腸管などに存在する
Tレグ細胞を増やすメリット
Tレグ細胞が増えた場合のメリットは、以下の通りです。
- 自己免疫疾患の発症を抑制する
- アレルギー疾患の発症を抑制する
- 炎症性疾患の発症を抑制する
自己免疫疾患とは、免疫が自分の体を誤って攻撃してしまう疾患です。
Tレグ細胞は、自己に対する免疫応答を抑制することで、自己免疫疾患の発症を抑制すると考えられています。
アレルギー疾患とは、アレルゲンに対する免疫応答が過剰に起こる疾患です。
Tレグ細胞は、アレルギー反応を抑制することで、アレルギー疾患の発症を抑制すると考えられています。
炎症性疾患とは、炎症が慢性的に続く疾患です。
Tレグ細胞は、炎症を抑制することで、炎症性疾患の発症を抑制すると考えられています。
Tレグ細胞を増やす方法
Tレグ細胞を増やす方法は、以下の通りです。
- 免疫療法
- 免疫療法とは、免疫系を活性化したり、免疫応答を抑制したりする薬剤や治療法を用いて、疾患を治療する方法
- Tレグ細胞を増やす目的で、免疫療法が行われることもある
- 腸内細菌叢の改善
- 腸内細菌叢とは、腸内に生息する微生物の集合体
- 腸内細菌叢は、免疫系の調節に関与していることが知られている
- 腸内細菌叢を改善することで、Tレグ細胞の増加が促進されると考えられる
- 運動
- 運動も、Tレグ細胞の増加に効果的であることが報告されている
生活習慣、特に食生活を改善してTレグ細胞を増やす方法を次の項目で確認しましょう。
腸内細菌叢を改善してTレグ細胞を増やす方法
腸内細菌叢を改善してTレグ細胞を増やすためにはフラクトオリゴ糖の摂取量を増やすとともに、糖質制限をするなど、食習慣を中心に生活習慣を見直すことが有効です。
- フラクトオリゴ糖の摂取量を増やす
- 腸内細菌叢を改善してTレグ細胞を増やすためには
- フラクトオリゴ糖の摂取量を増やすことが有効
- フラクトオリゴ糖は、腸内細菌の餌となる食物繊維の一種
- 腸内細菌の一部は、フラクトオリゴ糖を分解して酪酸を産生
- 酪酸は、Tレグ細胞の増殖を促進する物質
- 腸内細菌の一部は、フラクトオリゴ糖を分解して酪酸を産生
- フラクトオリゴ糖は、腸内細菌の餌となる食物繊維の一種
- フラクトオリゴ糖が多く含まれる食品
- イチゴやバナナ、キウイなどの果物
- 玉ねぎやにんにく、ごぼうなどの野菜
- フラクトオリゴ糖の摂取量を増やすことが有効
- 腸内細菌叢を改善してTレグ細胞を増やすためには
- 糖質制限をする
- 腸内細菌叢を改善してTレグ細胞を増やすために有効
- 腸内細菌叢のバランスが変化し、酪酸を産生する腸内細菌の割合が増加
- 1日あたりの糖質摂取量を、通常の1/3程度に抑える方法が一般的
- 糖質の多い食品を避け、たんぱく質や脂質を多く摂取する
- その他の方法
- 発酵食品を摂取する
- 発酵食品には、乳酸菌やビフィズス菌などの腸内細菌が含まれている
- プロバイオティクスやプレバイオティクスを摂取する
- プロバイオティクスは、生きたまま腸に届く腸内細菌のこと
- プレバイオティクスは、腸内細菌の餌となる食物繊維のこと
- ストレスを溜めない
- ストレス:腸内細菌叢のバランスを崩す原因
- 十分な睡眠をとる
- 睡眠不足:腸内細菌叢のバランスを崩す原因
- 発酵食品を摂取する
まとめ
Tレグ細胞は、免疫応答を抑制する機能を持った細胞です。
自己免疫疾患、アレルギー疾患、炎症性疾患などの発症を抑制する役割を担っています。
Tレグ細胞を増やす方法としては、免疫療法、腸内細菌叢の改善、運動などが挙げられます。
腸内細菌叢を改善してTレグ細胞を増やすためには、フラクトオリゴ糖の摂取量を増やす、糖質制限をする、発酵食品を摂取する、プロバイオティクスやプレバイオティクスを摂取する、ストレスを溜めない、十分な睡眠をとるなどの方法が有効です。
Tレグ細胞の概要
- T細胞の一種で、免疫応答を抑制する機能を持った細胞
- 自己免疫疾患、アレルギー疾患、炎症性疾患などの発症を抑制する役割を担っている
- 主に胸腺で産生され、末梢血やリンパ節、腸管などの組織に存在する
メリット
- 自己免疫疾患の発症を抑制する
- アレルギー疾患の発症を抑制する
- 炎症性疾患の発症を抑制する
増やす方法
- 免疫療法
- 腸内細菌叢の改善
- 運動