近年、コーヒー業界で注目を集める「サードウェーブコーヒー」というキーワード。
これは、2000年代以降に起こった、コーヒーに対する新たな価値観を指す言葉です。
この記事が「コーヒーの本当の価値」に気づくきっかけになれば幸いです。
コーヒーの3つの波:歴史、特徴、代表的なブランド、最新動向
ではまず、サードウェーブコーヒーを理解するために、過去2つの波から振り返ってみましょう。
ファーストウエーブ:利便性を追求した大量生産・大量消費の時代
19世紀後半~20世紀前半、ブラジルを中心にコーヒーの栽培量が増加し、家庭での消費も広まりました。
この時代は、利便性を追求した大量生産・大量消費が特徴です。
- 特徴
- 深煎り豆をメインに使用
- バターやミルク、砂糖などを加えて飲むのが一般的
- 代表的なブランド:
- キーコーヒー
- UCC
- ネスカフェ
- AGF
コーヒー豆の品質がローグレードなため、ある程度「深煎り」にして欠点をカバーする必要がありました。
深煎りがカバーできる可能性のある欠点
- 酸味や雑味
- 酸味や雑味といったネガティブなフレーバーが抑えられる
- よりコクのある風味に変化する可能性がある
- 生豆の品質のばらつき
- 生豆の品質のばらつきが均一化される
- ある程度フラットな味わいに仕上げることができる
- 生豆の品質のばらつきが均一化される
深煎りによって生じる可能性のある問題
- 本来の風味の損失
- コーヒー本来の風味である酸味やフルーティーな香りが失われる
- 苦味や焦げ臭みが強くなり、個性が失われる
- 油分の酸化
- コーヒー豆に含まれる油分が酸化しやすくなる
- 風味が劣化しやすくなる
しかし、深煎りにすればするほど生豆の中の水分が抜けて重量が軽くなってしまうため、焙煎豆を「グラム当たりいくら」で販売する際には利益が目減りしてしまいます。
また、飲む際に「ミルク」や「砂糖」でごまかす必要があったといえるでしょうね。
コーヒーをメインで楽しむというより、スイーツのサブ的要素として、飲み物はコーヒーを選ぶという感覚でしょうか。
セカンドウェーブ:高品質なコーヒー豆へのこだわり
1970年代になると、コーヒーの淹れ方や豆の種類にこだわる専門店が増え始めました。
エスプレッソやカフェラテなど、おしゃれで専門的なコーヒーのイメージを強く感じますね。
スペシャルティコーヒーの登場もこの頃です。
- 特徴
- 高品質なコーヒー豆の厳選
- エスプレッソやカプチーノなどの専門店が増える
- 代表的なブランド:
- スターバックス
- タリーズコーヒー
高品質なコーヒー豆を使用したおいしいコーヒーが普及し始め、コーヒーをメインに楽しむ感覚へ移行してきました。
サードウェーブ:生産地や品種ごとの個性を楽しむ
2000年代以降、消費者はコーヒー豆の生産地や品種ごとの個性に注目し始めました。
これが、サードウェーブコーヒーの潮流を生み出す原動力となりました。
- 特徴
- 浅煎り豆の使用によるフルーティーな味わい
- ハンドドリップなどの丁寧な抽出方法
- 生産者や焙煎者へのこだわり
- 代表的なブランド:
- ブルーボトルコーヒー
- 猿田彦珈琲
- 例
- 生産者ごとの個性を味わえるシングルオリジンコーヒーを選ぶ
- 淹れ方のワークショップに参加して、自分好みのコーヒーを見つける
もう少し細かく見ていきましょう。
- 浅煎り
- コーヒー豆本来の風味を最大限に引き出すことが可能
- シングルオリジン
- 特定の産地、農園のコーヒー豆を使用
- その豆独自の個性を味わう
- 特定の産地、農園のコーヒー豆を使用
- 品質へのこだわり
- 高品質なコーヒー豆の選定
- 丁寧な焙煎
- 抽出方法など
- 多様な風味
- フルーティー、フローラル、シトラスなど
- コーヒー豆の種類や産地によって異なる多様な風味を楽しむことができます。
サードウェーブコーヒーは、コーヒーの多様性を追求する広範なムーブメントであり、焙煎方法に関しては浅煎りにする傾向が強いと言えるでしょう。
ここで浅煎りコーヒーの代表的な焙煎方法、「ノルディックロースト」を紹介しておきます。
ノルディックローストとは?
ノルディックローストは、北欧で発展した浅煎りのコーヒー焙煎方法です。
- 高温短時間焙煎
- コーヒー豆の持つフルーティーな風味を最大限に引き出すことが可能
- 酸味とクリアな味わい
- 酸味が際立ち、クリアでクリーンな後味が特徴
- サードウェーブコーヒーとの関係
- サードウェーブコーヒーの理念に合致する焙煎方法として注目を集めている
代表的なノルディックローストのショップを紹介しましょう。
世界的に有名なノルディックロースター
- Tim Wendelboe (ティム・ウェンデルボー):コーヒー界の巨匠の一人、ティム・ウェンデルボーが手がけるロースター。世界各地のスペシャルティコーヒー豆を丁寧に焙煎し、その品質の高さが世界中のコーヒー愛好家から高く評価されています。
- La Cabra (ラ・カブラ):デンマークを代表するスペシャルティコーヒーロースター。ノルディックローストを専門とし、その洗練された味わいは、数々の国際的なコーヒーコンテストで受賞歴があります。
日本でノルディックローストを体験できるお店
- Fuglen Tokyo (フグレン トウキョウ):ノルウェー発祥の人気カフェ。ノルディックローストのコーヒーはもちろん、北欧らしいインテリアも魅力です。
- FUGLEN TOKYO
- FUGLEN ASAKUSA
- FUGLEN HANEGI KŌEN
- FUGLEN COFFEE ROASTERS
- FUGLEN FUKUOKA
- FUGLEN SANGŪBASHI
参考URL:FUGLEN SHOP LOCATION
サードウェーブコーヒーの最新動向
近年は、サードウェーブコーヒーのブームを受け継ぎながら、さらに多様化が進んでいます。
- マイクロロースターの台頭: 小規模な焙煎所が続々と登場し、個性的なコーヒーを提供している
- サブスクリプションサービス: 定期的に自宅にコーヒー豆が届くサービスが人気
- コーヒーとフードのペアリング: コーヒーに合わせたスイーツや料理を提供するカフェが増えている
まとめ
各ウェーブを簡単なキーワードでまとめてみましょう。
- ファーストウェーブ
- 大量生産
- 深煎り
- 苦味とコク
- インスタントコーヒーの普及
- セカンドウェーブ
- イタリアンロースト
- エスプレッソ
- カフェラテ
- コーヒーチェーンの台頭
- サードウェーブ
- シングルオリジン
- 浅煎り
- フルーティーな酸味
- 多様な抽出方法
- コーヒー豆の産地や品種へのこだわり
コーヒーの3つの波は、単なる流行ではなく、人々のコーヒーに対する価値観の変化を反映しています。
ファーストだけでなく、セカンドウェーブまではすでに体験済みの方が多いかもしれませんね。
しかしサードウェーブに関しては、認知度がまだあまり高くないようです。
あなたも、もしまだでしたら、この記事を参考にサードウェーブとの新鮮な出会いをぜひ体験してみてください。
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