中医学(東洋医学)における診断・治療の基本となる考え方の一つ「八綱弁証」の解説です。
八綱弁証とは?
八綱弁証とは、中医学(東洋医学)における診断・治療の基本となる考え方の一つです。
八つの要素(表・裏・寒・熱・虚・実・陰・陽)を組み合わせて、病気の状態を総合的に判断します。
- 表・裏
- 病変部位と病勢を表す綱領
- 表:体の浅い表面部
- 裏:深い部分や内臓
- 病変部位と病勢を表す綱領
- 寒・熱
- 疾病の性質を表す綱領
- 寒証
- 寒邪(冷たい病邪)の侵入によって起こる病気
- 四肢の冷え
- 食欲不振
- 脈が遅いなどの症状
- 寒邪(冷たい病邪)の侵入によって起こる病気
- 熱証
- 熱邪(熱い病邪)の侵入によって起こる病気
- 発熱
- 口渇
- 脈が速いなどの症状
- 熱邪(熱い病邪)の侵入によって起こる病気
- 寒証
- 疾病の性質を表す綱領
- 虚・実
- 人体の抵抗力と病邪の盛衰や力関係を弁別する綱領
- 虚証
- 人体の抵抗力が弱く
- 病邪が盛んになっている状態
- 実証
- 人体の抵抗力が強く
- 病邪が弱まっている状態
- 虚証
- 人体の抵抗力と病邪の盛衰や力関係を弁別する綱領
- 陰・陽
- 八綱弁証の総綱
- 「表・熱・実」を総合して陽とし
- 「裏・寒・虚」を総合して陰とする
- 八綱弁証の総綱
八綱弁証は、四診(望診・聞診・問診・切診)によって得られた情報をもとに、病気の状態を総合的に判断します。
その結果、表裏寒熱虚実陰陽のいずれか、または複数の要素が組み合わさった証(病気の状態を表す用語)を立てます。
- 八綱弁証
- 四診(望診・聞診・問診・切診)によって得られた情報をもとに
- 病気の状態を総合的に判断
- その結果
- 表裏寒熱虚実陰陽のいずれか
- または複数の要素が組み合わさった証(病気の状態を表す用語)を立てる
- 表裏寒熱虚実陰陽のいずれか
- 四診(望診・聞診・問診・切診)によって得られた情報をもとに
証に基づいて、鍼灸や漢方薬などの治療方針を決定します。
例えば、風邪の症状がみられる場合、「表寒証」と診断されることがあります。この場合は、風邪の初期で、病邪が体の表面に侵入して寒邪が盛んになっている状態です。
治療としては、体を温めて病邪を体の外に排出させる必要があります。
そのため、発汗作用のある漢方薬や、体表を温める鍼灸治療が行われます。
八綱弁証は、中医学における診断・治療の基本となる考え方であり、その精緻さは世界でも高く評価されています。