中国最古の医学書「黄帝内経」の解説です。
黄帝内経(こうていだいけい)とは?
『黄帝内経(こうていだいけい)』は、紀元前200年頃から220年頃にかけて編纂されたとされる、中国最古の医学書です。
伝説上の帝王である黄帝と岐伯(きはく)や伯高(はっかく)ら医師との問答形式で書かれており、陰陽五行説や気(き)・経絡(けいらく)などの概念に基づいた医学理論や臨床医学について記されています。
『黄帝内経』は、東洋医学 の基礎となる書物として、中国をはじめ、日本、韓国、東南アジアなど、東アジア全域の医学に大きな影響を与えてきました。
また、現代医学の基礎にもなっていると考えられています。
黄帝内経の構成
『黄帝内経』は、大きく分けて『素問』と『霊枢』の2つから構成されています。
- 『素問』
- 医学理論に関する部分
- 基本的な概念について解説
- 「陰陽五行説」
- 「気」
- 「経絡」など
- 『霊枢』
- 鍼灸治療に関する部分
- 鍼灸の理論や技法について詳しく説明
『黄帝内経』の内容は、非常に奥深く、難解な部分も多いですが、東洋医学を理解する上で欠かせない書物です。
『黄帝内経』として1冊にまとまっている書籍だけでなく、『素問』と『霊枢』などの分冊もあります。
「難経」とは?
難経(なんぎょう)は、古代中国の医学書『黄帝八十一難経』の略称で、『八十一難経』ともいわれます。
成立年代ははっきりわかっていませんが、『黄帝内経』成立より後であり、また傷寒雑病論の張仲景が序で『八十一難経』を参考にしたと述べていることから、それに先立つ著作です。
内容から後漢以降に成立したと考えられています。
全81章から構成されており、主に脈診と鍼灸の理論と実践について解説しています。
『黄帝内経』の『素問』と『霊枢』を補完する内容であり、特に脈診の分野では重要な書籍として位置づけられています。
難経の特徴は、以下の通りです。
- 脈診の分野において、脈の種類や状態、診断方法などを詳細に解説
- 鍼灸の分野において、経絡や穴位、鍼灸の効能、鍼灸の手技などを解説
- 陰陽五行説を基盤とした医学体系を採用
難経は、東洋医学の基礎となる書籍であり、現代でも鍼灸治療の研究や教育において重要な役割を果たしています。
以下に、難経の主要な内容をまとめます。
- 脈診篇:脈の種類や状態、診断方法などを解説
- 鍼灸篇:経絡や穴位、鍼灸の効能、鍼灸の手技などを解説
- 五臓六腑篇:五臓六腑の構造や機能、病理などを解説
- 生気篇:生気と病気の関係を解説
- 病機篇:病気の原因と経過を解説
- 気血篇:気血の働きと病理を解説
- 論衡篇:難経の各篇の要点をまとめた論文
難経は、古代中国の医学や哲学、自然観などが反映された書籍であり、東洋医学の理解を深める上で欠かせない書籍です。
以下に、『黄帝内経』の主要な内容を簡単にまとめます。
黄帝内経の主要な内容
- 陰陽五行説
- 古代中国の哲学思想に基づく自然観・宇宙観であり、東洋医学の基本的な考え方の一つ
- 陰陽は、相反する二つの要素
- 五行は、木・火・土・金・水の五つの要素
- これらの要素が相互に作用し合って、森羅万象が成り立っている
- 古代中国の哲学思想に基づく自然観・宇宙観であり、東洋医学の基本的な考え方の一つ
- 気
- 東洋医学において、生命活動の根源となるエネルギー
- 体内に流れる気(気血)と
- 体外に存在する気(天地の氣)の2つに分類
- 五行の要素と密接に関係
- 陰陽五行説に基づいて
- 気はどのように流れて、どのような作用をするかについて説明している
- 陰陽五行説に基づいて
- 東洋医学において、生命活動の根源となるエネルギー
- 経絡
- 体内に張り巡らされたエネルギーの通り道
- 12の正経(ぜんけい)と
- 奇経(きけい)と呼ばれる2つの経絡がある
- 12の正経は、五行の要素と関連付けられている
- それぞれの経絡には
- 特定の病気や症状に対応する機能があるとされている
- それぞれの経絡には
- 体内に張り巡らされたエネルギーの通り道
- 鍼灸
- 東洋医学の代表的な治療法の一つ
- 鍼や灸を使って、経絡の流れを調整し
- 気・血の巡りを良くすることで、病気を治療
『黄帝内経』は、東洋医学の歴史と思想を理解する上で、欠かせない書物です。
また、現代医学の基礎にもなっていると考えられていることから、東洋医学や現代医学を学ぶ上で、重要な参考資料となります。