コーヒーの香り、味覚、酸味、苦味、ボディ感などの官能特性を体系的に評価する専門的な手法「カッピング」の解説です。
コーヒー鑑定:カッピングとは?
業界に属するコーヒー系ユーチューバーの動画を観ていると、時どき「カッピング」というキーワードや、スプーンでコーヒーの液体をすくって勢いよく吸い込む様子を見かけます。
ある程度の説明は動画内でもされていますが、あらためて詳しく知りたいと思って調べてみました。
カッピングの概要
カッピングは、コーヒーの香り、味覚、酸味、苦味、ボディ感などの官能特性を体系的に評価する専門的な手法です。主に以下の目的で使用されます。
カッピングの目的
どのような「目的」でカッピングをしているのか、見てみましょう。
- 品質管理
- 生豆および焙煎豆の品質を客観的に評価
- ブレンドなどに活用
- 欠陥豆や異常な風味を検出
- 品質の安定化に貢献
- 生豆および焙煎豆の品質を客観的に評価
- 味覚トレーニング
- コーヒーの風味の繊細な違いを認識
- 表現する能力を磨く
- 味覚の感度を高める
- より高度なコーヒー評価が可能に
- コーヒーの風味の繊細な違いを認識
- 産地・品種による特性の理解
- 異なる産地や品種のコーヒーの風味特性を体系的に分析
- 生産地や品種による風味の差異を理解
- 適切な評価基準を確立
- 購入判断
- 購入前にコーヒーの品質を確認
- 取引の意思決定に役立てる
- 一貫した品質のコーヒーを安定的に調達するための重要なツールとなる
- 購入前にコーヒーの品質を確認
カッピングの評価内容
カッピングによって、「何を」「どのように」評価しているのか、見てみましょう。
香り
- アロマ: 挽いた豆から立ち上る香り
- フレーバー: 淹れたコーヒーから立ち上る香り
味覚
- 酸味: 明るさ、クエン酸、リンゴ酸などのバランス
- 甘味: 甘さ、シロップ感などのバランス
- 苦味: 心地よい苦味と雑味の区別
触覚
- ボディ感: 重厚感、滑らかさなどの質感
その他
- 余韻: 口に含んだ後の風味の持続時間
- 総合評価: 上記項目を総合的に判断した評価
カッピングの手順
- グラインディング:
- 挽きたての新鮮な豆を、均一な粒度に挽きます。
- 豆の量:12g
- ドーシング:
- 各カップに一定量の挽いた豆を正確に投入します。
- お湯を注ぐ前に香りを嗅ぐ
- 乾いた粉の香りは「フレグランス」と言い、評価項目
- お湯の注ぎ:
- 93℃±1℃のお湯を、3回に分けて注ぎます。
- 沸きたてで良いという解説もある
- 湯量:200ml
- お湯を注いだ後の香りを嗅ぐ
- 湿った状態の香りは「アロマ」という
- ブレイク:
- 4分間放置(コーヒーのガスを抜き、風味の安定化を図る)後
- 鼻を近づけた状態でスプーンで手前から奥へ表面の泡をすくいとる
- その時の香りを嗅ぐ
- 鼻を近づけた状態でスプーンで手前から奥へ表面の泡をすくいとる
- 4分間放置(コーヒーのガスを抜き、風味の安定化を図る)後
- スローピング:
- 上の泡をスプーンですくって捨てる
- コーヒーをスプーン3分の2程すくい上げる
- 空気と共に勢いよく霧状になるように吸い込む
- テイストや香りを評価
- 空気と共に勢いよく霧状になるように吸い込む
- テイスティング: 以下の項目を評価します。
- 香り: アロマ、フレーバー
- 酸味: 明るさ、クエン酸、リンゴ酸
- 甘味: 甘さ、シロップ感
- 苦味: 心地よい苦味、雑味
- ボディ感: 重厚感、滑らかさ
- 余韻: 長さ、心地よさ
- 点数付け: 100点満点で評価します。
カッピングを体験する
カッピングは、以下の方法で体験することができます。
- スペシャルティコーヒーショップ: 多くのショップでカッピング体験を提供しています。
- カッピングセミナー: コーヒーの知識やカッピング技術を学べるセミナーが開催されています。
- 自宅: カッピングボウルやスプーンなどの道具を揃えれば、自宅でもカッピングを楽しむことができます。
カッピング専用の商品は高価なので、自宅用なら220mlサイズの以下のカップセットでOKです。
スプーンは、百均などのスープ用などの丸い形状のもので良いでしょう。
ちなみにカッピング専用のスプーンは以下のような形状のものです。