「日米地位協定」の解説です。
日米地位協定とは?
日米地位協定は、日本とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づき、在日米軍が日本国内に施設・区域を設置し、その中で活動するための権限や義務を定めたものです。
協定の主な内容は、以下のとおりです。
在日米軍の施設・区域の提供
日本政府は、在日米軍のために、必要な施設・区域を提供する義務を負っています。
この施設・区域は、陸上、海上、空上の施設・区域を含みます。
在日米軍が使用している施設・区域は、日本国内に広く分布しています。その数は、約1,000か所にのぼるといわれています。
在日米軍の活動に関する日本政府の協力
日本政府は、在日米軍の活動に必要な協力を行う義務を負っています。
この協力には、以下のようなものが含まれます。
- 在日米軍の
- 輸送、通信、港湾利用の支援
- 捜索・救助活動への協力
- 災害派遣への協力
在日米軍の犯罪に関する管轄権
在日米軍の犯罪に関する管轄権は、原則としてアメリカ合衆国にあります。
ただし、以下の場合には、日本政府が管轄権を持つことができます。
- 日本の領域内において
- 日本の法律に違反する行為を行った場合
- 日本の領域外において
- 日本の領域に重大な損害を与える行為を行った場合
在日米軍の賠償責任
在日米軍の行為によって、日本国民や日本国内の財産に損害が生じた場合、在日米軍は、賠償の責任を負います。
ただし、以下の場合には、日本政府が賠償の責任を負う場合があります。
- 在日米軍の行為が
- 日本の法律に違反する場合
- 日本の領域外において行われた場合
実際の米軍支配(空域など)
日米地位協定に基づき、在日米軍は、日本国内の空域、領海、領土の大部分を支配しています。
空域
日本政府は、在日米軍の飛行機に対して、日本国政府の管制の対象外となる「自由空域」を設定しています。
この自由空域は、日本の本土や周辺の島嶼の大部分を覆っており、在日米軍の戦闘機や輸送機は、この自由空域内では、日本の航空管制を受けることなく、自由に飛行することができます。
具体的には、日本の本土の周囲を覆う「北方限界線(NLL)」と、沖縄本島と台湾の間にある「東シナ海防空識別圏(ADIZ)」の大部分が、自由空域となっています。
- 日本政府は
- 在日米軍の飛行機に対して
- 日本国政府の管制の対象外となる
- 「自由空域」を設定している
- 日本国政府の管制の対象外となる
- 在日米軍の飛行機に対して
- 自由空域は
- 日本の本土や周辺の島嶼の大部分を覆っており
- 自由空域内では
- 在日米軍の戦闘機や輸送機は
- 日本の航空管制を受けることなく、自由に飛行することが可能
- 在日米軍の戦闘機や輸送機は
- 自由空域内では
- 日本の本土や周辺の島嶼の大部分を覆っており
- 具体的な自由空域
- 日本の本土の周囲を覆う「北方限界線(NLL)」
- 沖縄本島と台湾の間にある「東シナ海防空識別圏(ADIZ)」の大部分
領海
日本政府は、在日米軍の艦船に対して、日本の領海内において、日本国政府の管制の対象外となる「自由航行海域」を設定しています。
この自由航行海域は、日本の本土や周辺の島嶼の大部分を覆っており、在日米軍の艦船は、この自由航行海域内では、日本の海上保安庁の管制を受けることなく、自由に航行することができます。
具体的には、日本の本土の周囲を覆う「領海基線」と、沖縄本島と台湾の間にある「東シナ海防空識別圏(ADIZ)」の大部分が、自由航行海域となっています。
領土
在日米軍は、沖縄県の嘉手納基地、普天間基地、キャンプ・シュワブなど、日本政府から提供された土地を占有しています。
これらの基地は、アメリカ合衆国の領土とみなされており、日本政府は、これらの基地内の活動に対して、事実上の管轄権を持っていません。
- 在日米軍は日本政府から提供された土地を占有
- 沖縄県の嘉手納基地
- 普天間基地
- キャンプ・シュワブなど
- これらの基地は
- アメリカ合衆国の領土とみなされている
- 日本政府は、これらの基地内の活動に対して、事実上の管轄権を持っていない
その他の影響
日米地位協定は、日本国内の治安維持や環境保護にも影響を与えています。
治安維持
在日米軍の犯罪は、原則としてアメリカ合衆国の軍事法廷で裁判されます。
そのため、在日米軍の犯罪が日本の社会に与える影響が懸念されています。
具体的には、在日米軍の犯罪による被害者やその家族の苦しみ、在日米軍の犯罪の抑止力不足、在日米軍の犯罪に対する日本国民の不満などが挙げられます。
環境保護
在日米軍の基地は、日本の環境に大きな影響を与えています。
具体的には、基地内の騒音や汚染、基地周辺の土地利用の制限などが挙げられます。
日米地位協定の見直し
日米地位協定は、日本とアメリカ合衆国にとって極めて重要な協定ですが、近年、在日米軍の犯罪や環境問題などに対する批判が高まっています。
そのため、日米地位協定の見直しを求める声が、日本国内で高まっています。
日米地位協定の見直しにおいては、以下の点が検討される可能性があります。
- 在日米軍の
- 犯罪に関する管轄権の見直し
- 基地の縮小・返還
- 活動に関する日本政府の協力の範囲の見直し
日米地位協定の見直しは、日米関係のあり方を大きく左右する重要な問題です。