「食品添加物」の解説です。
食品添加物とは?
食品添加物とは、食品の製造過程で、または食品の加工や保存の目的で食品に添加、混和などの方法によって使用する物質のことです。
食品衛生法では、食品添加物は次のように定義されています。
食品添加物とは、食品の製造過程で、または食品の加工や保存の目的で食品に添加、混和などの方法によって使用するもので、次に掲げるもの以外のものをいう。
一 食品に本来的に存在する物質(天然香料を除く。)
二 食品の製造過程で、または食品の加工や保存の目的で、食品に添加、混和などの方法によって使用されるものであっても、その使用の目的からみて、食品の栄養成分を増加させるためのもの、食品の風味を向上させるためのもの、食品の形状を保持させるためのもの、食品の色調を保持させるためのもの、食品の酸化を防止するためのもの、食品の腐敗を防止するためのもの、食品に栄養成分を補給するためのもの、食品の栄養成分の吸収を促進するためのもの、食品の摂取を容易にするためのもの、食品の品質を保持するためのもの、食品の衛生を保持するためのもの、食品の安全性を高めるためのもの、食品の機能性を向上させるためのもの、食品の加工を容易にするためのもの、食品の製造工程を簡便にするためのもの、食品の製造コストを低減するためのもの、食品の輸送や流通を円滑にするためのもの、食品の表示を容易にするためのもの、食品の品質を評価するためのもの、食品の成分を分析するためのもの、食品の試験を行うためのもの、食品の製造工程の管理を行うためのもの、食品の製造用容器包装材料の製造工程の管理を行うためのもの
食品添加物の種類
食品添加物は、その用途によって、次の10種類に分類されます。
種類 | 用途 |
---|---|
保存料 | 食品の腐敗や変質を防止する |
着色料 | 食品の色調を保持・向上させる |
甘味料 | 食品の甘みを与える |
酸味料 | 食品の酸味を与える |
香料 | 食品の風味を向上させる |
膨張剤 | 食品に膨らみを与える |
乳化剤 | 食品の成分を均一に混ぜ合わせる |
安定剤 | 食品の成分が分離するのを防ぐ |
増粘剤 | 食品の粘り気や弾力性を高める |
食品添加物のリスク
食品添加物には、アレルギーや発がん性などのリスクが指摘されています。
アレルギーは、食品添加物に含まれる特定の物質に対して過敏な体質の人が、その物質を含む食品を摂取することで発症するものです。
発がん性とは、食品添加物に含まれる特定の物質が、長期間にわたって摂取することで、がんを引き起こす可能性があることです。
食品添加物のメリット・デメリット
食品添加物には、次のメリットとデメリットがあります。
メリット
- 食品の安全性・品質の向上
- 食品の製造・流通の効率化
- 消費者の利便性の向上
デメリット
- アレルギーや発がん性のリスク
- 食品の味や風味の変化
食品添加物の安全基準
食品添加物の安全基準は、次の2つの検査でクリアされます。
- 安全性試験
安全性試験は、食品添加物の毒性、アレルギー性、発がん性などの安全性を評価する試験です。
毒性試験では、動物を用いて、単回投与試験、反復投与試験、遺伝毒性試験などが行われます。
アレルギー性試験では、ヒトを用いて、皮膚テスト、経口摂取試験などが行われます。
発がん性試験では、動物を用いて、長期間の投与試験が行われます。
- 安全性試験
- 食品添加物の安全性を評価する試験
- 毒性
- 動物を用いて以下の試験等が行われる
- 単回投与試験
- 反復投与試験
- 遺伝毒性試験
- 動物を用いて以下の試験等が行われる
- アレルギー性
- ヒトを用いて以下の試験等が行われる
- 皮膚テスト
- 経口摂取試験
- ヒトを用いて以下の試験等が行われる
- 発がん性
- 動物を用いて以下の試験等が行われる
- 長期間の投与試験
- 動物を用いて以下の試験等が行われる
- 毒性
- 残留性試験
残留性試験は、食品添加物が食品に残留する量を評価する試験です。
残留性試験では、食品添加物が食品にどのように添加されるのか、食品添加物が食品にどのように分解されるのか、食品添加物が食品からどのように排出されるのかが検討されます。
- 残留性試験
- 食品添加物が食品に残留する量を評価する試験
- 食品添加物が食品にどのように添加されるのか?
- 食品添加物が食品にどのように分解されるのか?
- 食品添加物が食品からどのように排出されるのか?
食品添加物の使用基準
「1.安全性試験」と「2.残留性試験」の結果に基づいて、食品衛生法に基づく「食品、添加物等の規格基準」において、食品添加物の使用基準が定められます。
具体的には、食品添加物の用途ごとに、次の基準が定められています。
- 1日摂取許容量(ADI)
- 人が一生涯にわたって摂取しても健康に悪影響を及ぼすおそれがないと推定される量
- 使用基準量
- 食品に添加できる食品添加物の量
- 使用禁止
- 食品に添加してはならない食品添加物
食品添加物は、これらの基準をクリアしたものだけが、食品に使用することが認められています。
また、食品添加物の安全性については、常に監視が行われています。
厚生労働省は、食品添加物に関する最新の研究成果を収集・評価し、必要に応じて使用基準を改正しています。
食品添加物の組み合わせによる安全性評価
食品添加物の安全性評価においては、単体での安全性評価に加えて、組み合わせによる安全性評価も行われるようになってきています。
例えば、2008年に公表された「食品添加物の複合影響に関する情報収集調査報告書」では、食品添加物200種類以上の組み合わせについて、毒性やアレルギー性などの安全性について検討が行われたそうです。
その結果、一部の組み合わせにおいて、単体での安全性評価では確認できなかったリスクが指摘されました。
- 相乗的な毒性やアレルギー性が指摘された組み合わせ
- 亜硝酸塩とソルビン酸
- 亜硝酸塩と発色剤
- ソルビン酸と発色剤
これらの組み合わせは、食品衛生法に基づく「食品、添加物等の規格基準」において、使用基準が厳格化されています。
また、厚生労働省は、食品添加物に関する最新の研究成果を収集・評価する際には、組み合わせによる安全性にも配慮するよう努めてるようです。
ただし、食品添加物の組み合わせによる安全性評価は、まだ十分に行われているとはいいがたい状況で、今後も、さらなる研究や検討が進められることが望まれます。
具体的には、次の点について、さらなる研究や検討が必要でしょう。
- 組み合わせの種類や数を増やして、より広範囲な組み合わせを評価する
- 組み合わせによる毒性やアレルギー性の評価方法を標準化する
- 組み合わせによる安全性の評価結果を、食品表示や食品製造工程などに反映する
このような取り組みを通じて、食品添加物の安全性をより確実に評価し、消費者の安全を守ることが重要です。
意外な落とし穴:複数の商品による危険な添加物の組み合わせ
一つの商品としては、危険な添加物の組み合わせを避けることができても、消費者が複数の添加物入り食品を購入し、同時に摂取することで、危険な組み合わせになる可能性は高くなります。
例えば、「亜硝酸塩を含むハム」を、「ソルビン酸を含む菓子」と一緒に食べた場合、「亜硝酸塩とソルビン酸の組み合わせ」による相乗的な毒性やアレルギー性が懸念されます。
このような危険な組み合わせを避けるために、消費者は、食品の添加物表示をよく確認し、食品添加物の組み合わせに注意する必要があります。
危険な組み合わせの「もっとも簡単な回避方法」
- 以下の食品添加剤が入った商品を購入しない!
- 亜硝酸塩
- ソルビン酸
- 発色剤
食品の添加物表示には、添加物の種類と使用量が記載されています。添加物表示をよく確認することで、危険な添加物の組み合わせを避けることができます。
また、食品の種類や組み合わせにも注意が必要です。
例えば、食肉製品や魚介類加工品には、亜硝酸塩や発色剤が使用されていることが多いです。
これらの食品を同時に摂取すると、亜硝酸塩と発色剤の組み合わせによる相乗的な毒性やアレルギー性が懸念されます。
食品添加物の安全性については、今後もさらなる研究や検討が進められることが望まれます。
また、消費者は、食品の添加物表示をよく確認し、食品添加物の組み合わせに注意することで、自分の健康を守ることが重要です。
食品添加物の注意点
食品添加物を使用する際には、次の点に注意する必要があります。
- 使用量を守る
- アレルギーの危険性のある食品添加物は、アレルギー体質の人に注意喚起する
- 発がん性が指摘されている食品添加物は、使用を避ける
まとめ
食品添加物は、食品の安全性・品質の向上や、製造・流通の効率化に役立つ一方で、アレルギーや発がん性のリスクも指摘されています。
食品添加物を使用する際には、安全性やリスクを十分に理解した上で、適切に使用することが大切です。