東洋医学の根底にある思想「陰陽五行説」の解説です。
用語集「東洋医学」では、東洋医学の概要を解説していますので、こちらもご覧ください。
陰陽とは?
陰陽とは、東洋思想において、万物に存在する二つの対立する概念です。
陰は、暗い、冷たい、静かな、内側など、消極的な性質を表し、陽は、明るい、温かい、動的な、外側など、積極的な性質を表します。
陰陽は、常に相互に作用し合っており、陰が強すぎると陽が弱まり、陽が強すぎると陰が弱まります。
- 陰
- 暗い
- 冷たい
- 静かな
- 内側など
- 消極的な性質
- 陽
- 明るい
- 温かい
- 動的な
- 外側など
- 積極的な性質
- 陰陽は
- 常に相互に作用し合う
- 陰が強すぎると陽が弱まる
- 陽が強すぎると陰が弱まる
このバランスが崩れることで、病気や不調が生じると考えられています。
五行とは?
五行とは、東洋思想において、万物を構成する五つの元素です。
木・火・土・金・水の五つに分類され、それぞれに固有の性質や特徴があります。
- 木:生長、向上、伸びやか
- 火:温かさ、明るさ、情熱
- 土:安定、調和、中庸
- 金:冷たさ、硬さ、落ち着き
- 水:冷たさ、流動性、変化
五行は、陰陽と同様、相互に作用し合っており、木は火を生み、火は土を生み、土は金を生み、金は水を生み、水は木を生むという循環関係にあります。
- 木は➡火を生み
- 火は➡土を生み
- 土は➡金を生み
- 金は➡水を生み
- 水は➡木を生む
- 木➡火➡土➡金➡水➡木・・・循環関係にある
この循環関係が乱れることで、病気や不調が生じると考えられています。
陰陽五行説は、東洋医学の基本的な考え方であり、陰と陽、そして五つの元素(木・火・土・金・水)のバランスが、人の健康と病気を左右すると考えるものです。
五行を体の部位に当てはめると?
この考え方を体の部位に当てはめると、以下のようになります。
陰陽 | 五行 | 部位 |
---|---|---|
陽 | 木 | 頭部、顔、目、耳、鼻、上肢 |
陽 | 火 | 心臓、小腸、舌、目 |
中庸 | 土 | 脾臓、胃、口、肌 |
陰 | 金 | 肺、大腸、鼻、皮膚 |
陰 | 水 | 腎臓、膀胱、耳、骨 |
具体的には、以下のような考え方があります。
- 頭部
- 陽の部分
- 木の要素
- 活発で活動的な性質を持つ
- 視覚や聴覚などの感覚器官が集中する場所
- 精神活動の中心
- 心臓
- 陽の部分
- 火の要素
- 温かく活発な性質を持つ
- 血液を全身に送り出すポンプ
- 生命活動の中心
- 脾臓
- 中庸の部分
- 土の要素
- 安定した性質を持つ
- 消化吸収や血液の生成などの重要な役割を担っている
- 肺
- 陰の部分
- 金の要素
- 清涼で静かな性質を持つ
- 呼吸や新陳代謝などの重要な役割を担っている
- 腎臓
- 陰の部分
- 水の要素
- 冷たく静かな性質
- 生殖や成長などの重要な役割を担っている
もちろん、これはあくまでも一般的な考え方であり、必ずしもすべての場合に当てはまるとは限りません。
例えば、頭部は陽の部分であり、木の要素に当てはめられることが多いですが、頭部は、陰の要素である水の要素も含んでいると考えられます。
これは、頭部は、脳や髄液などの水分を多く含んでいるためです。
また、肺は陰の部分であり、金の要素に当てはめられることが多いですが、肺は、陽の要素である火の要素も含んでいると考えられます。
これは、肺は、呼吸によって体に酸素を取り込み、体温を調節するなどの重要な役割を担っているためです。
このように、陰陽五行説を体の部位に当てはめる際には、それぞれの部位の性質や役割を総合的に考慮することが大切です。
陰陽五行説の活用方法
陰陽五行説は、東洋医学の基本的な考え方であり、日常生活にも活用することができます。
例えば、陰陽のバランスを整える食事や生活習慣を実践することで、健康を維持・増進することができます。
具体的には、以下のような方法が挙げられます。
- 食事:陰と陽のバランスがとれた食事を心がける。
- 睡眠:夜はしっかり寝て、朝は早起きする。
- 運動:適度な運動をして、血行を促進する。
- ストレス解消:ストレスを溜め込まないように、趣味やリラクゼーションを楽しむ。
陰陽五行説は、奥深い考え方ですが、日常生活に役立てることで、より健康で豊かな生活を送ることができるでしょう。